バトル漫画を面白くするたった2つの条件

ポイズナー ひとりごと

素人漫画家の「たまごをクレヨン」です。

バトル漫画を面白くするたった2つの条件

えらそうなタイトルにしてしまいました。
「プロとしてデビューしたことがない、しがない素人漫画家が一体何を語れるというのか!」とお叱りの声が聞こえてきそうです。

ですが、少々お待ちください!
今回は、いち漫画家というよりは、小学生の頃から漫画を愛読し、大人になった今でも漫画を愛し読み続けているヘビーユーザーとして、面白いバトル漫画に必要な条件を考察させていただきたいと思います。つまり読者の視点からの考察となります。

私が考えるバトル漫画を面白くする条件はたったの2つです。

①強さのハイパーインフレを抑える。
②主人公以外の戦いをしっかりと描く。

これからバトル漫画の漫画家を目指される前途有望な漫画家のたまごの皆様にご一読いただければ幸いです。

強さのハイパーインフレを抑える

人気がでればストーリーの変更を多少は余儀なくされる場合もあるでしょうし、その時々において諸事情があることもわかっております。ですが、バトル漫画において読者が冷めてしまうのは、やはり”強さの急激なインフレ”が発生した時です。

世の中のほとんどのバトル漫画が陥りがちがちな負のパターンにこの”強さの急激なインフレ”があります。

バトル漫画においては、ストーリーの進行とともに、主人公はさらなる強敵との戦いを余儀なくされ、敵がどんどん強くなります。この時、往々にして発生しやすいこととして、前編までのラスボスが主人公の味方となるも、新しい敵の”引き立て役”にされてしまい、あっけなくやられるという流れです。

これは、すなわち、全○○編のラスボスを倒すぐらい新たに登場したキャラが強いことを意味するので、非常にわかりやく読者に大きなインパクトを与えることができます。効果覿面(こうかてきめん)であるからこそ、この手法がバトル漫画において重宝されるのは致し方なしなのですが、これを物語において多用しすぎると、ずっとストーリーに感情移入してきた読者は急に冷めてしまうことになります。

あれだけ苦労して倒してやっと味方になった敵がいとも簡単に新キャラにやられてしまった。ある程度善戦すらならまだしも、新キャラのインパクトを強めるために新キャラの”たった一撃”などで、簡単に前回までのラスボスが倒されるのは、むしろ逆効果になるリスクさえ付きまといます。新編、新章を盛り上げようとするあまり、感動的に描かれた前編、前章を自ら否定するような結果になってしまうのです。そして、読者は思います。「あっ、インフレ始まったな」と。

ストーリーの進行を見守り続けた読者は、登場したキャラクターの背景や人物像を知ることで、キャラに愛着を持っています。そのキャラがいとも簡単に敗北したり物語から退場してしまうと非常にショックを受けることになります。

強さのインフレはすぐに効く”特効薬”ですが、同時に”劇薬”でもあるのです。

漫画が続く以上、一つの編、章が終われば、次の編、章を盛り上げなければいけないのは当たり前の話です。じゃあ、どうすれば良いのか。

新キャラを強く見せることは必要ですが、ちょうど良い”匙加減”で新キャラを料理し、強く見せる調整力が必要不可欠となります。

では、その調整力とはどのようなものが考えられるのでしょうか。

具体的には前編までのラスボスクラスのキャラを新編の新登場キャラに少なくとも一撃で倒されるという描き方はしないことです。強さのインフレは致し方なしと受け入れつつも、急激なインフレは避けるという考え方です。

その急激な強さのインフレを避ける匙加減という名の調整力は、ずばり”理由付け”です。
具体例を箇条書きにしてみました。

【 理由付けの具体例】

・主人公と戦ったばかりでダメージから回復していなかったことにする!→(本当は強いんだぞ!)
・他のキャラを庇うために自己犠牲的に行動した結果とする。
 → (ガチでやれば勝てたかもしれないが状況がそうさせなかったことに!)
・時間的制約、空間的制約等を設定して不利な状況で戦わされたとすることで敗北させる。
 → (通常の状況であれば勝てたかもしれないという余地を残すので、完全敗北したと思われない。=緩やかなインフレ)

この匙加減とは真逆の概念として、絶対にやってはいけない”最悪の味付け”があります。
それが、理由付けのない完全敗北です。
こちらも具体例を挙げた方がわかりやすいです。

【 最悪の味付けの具体例 】

・新章のキャラを強く見せるため、前編のラスボスが新章のラスボスや幹部クラスでもないただの雑兵クラスのキャラクターにいとも簡単に敗北するパターン

これは、登場した軍団がものすごく強いんだというインパクトを瞬時に与えることにおいてのみ奏功しますが、ストーリーの進行とともに強さのハイパーインフレが生じ、物語としての整合性が失われていく結果を引き起こします。

”理由づけ”という調整力の他に、急激な強さのインフレを避けるもうひとつのソリューションがずばり”最強事前設定”です。

簡単な話です。物語を考える際に、最強を事前に決めておく。換言すれば、最強レベルを設定しておくことを意味します。こちらが上限値で固定となるため、物語の進行とともに様々な敵キャラが現れたとしても、それらは最強以下で、最強キャラというゴールにたどりつくための”プロセス”とするのです。

もちろん、最強事前設定をしているのは作者となりますので、物語の序盤から読者に対してわざわざすべての設定を明らかにする必要は全くありません。進行上、倒されていくことになる敵キャラの中にラスボスへと昇華される存在を隠すという手法も面白いかもしれません。

不気味で強さの底を見せないキャラは強そうに見えます。
例えるなら、ポーカーの相手でしょうか。手札の中身は大したことなくても、自身に満ち溢れた表情でこちらの表情を伺う相手は強いカードを持っているように感じてしまいます。
私は、読者をミスリードするような強キャラが複数いても良いと考えています。強さのハイパーインフレを起こさない範囲で、つまり事前に設定した強さの上限値であるラスボスをあくまで超えない範囲内で、不気味で、狡猾で、下手したらこっちがラスボスなんじゃないかと思わせるぐらい強さの底が見えないキャラを複数登場させるのは、物語を単調にさせない意味で非常に効果があります。

長年同じ漫画を描いていると、ストーリーの進行とともに、作者にも疲れが見られるようになりますし、描くことに飽きてきます。当初、ラスボスと想定していたが、描くにつれて別のキャラをラスボスにしたくなったとき、この不気味なキャラ達が”変数”のようにラスボスに変換が可能となるわけです。

このようにラスボスに成り得る存在を複数用意してストーリーをすすめるのも面白い手法かもしれません。作者自身もその時点でわからないぐらいどう料理するのか決めかねているキャラクターが複数いれば、当然、読者の間でもラスボス予想などの話で盛り上がると思います。ただし、絶対に怠ってはいけないことが、最強レベル事前設定、上限値の事前設定です。

そして、最強を倒したら、もうそれ以上、強い敵は描けないし、絶対に描かない。最強キャラを倒すことは、すなわち物語の終了を意味し、それが最終回となります。漫画の人気が出てしまって、長く続けたいのなら、最強にたどりつくまでのストーリーを引き延ばすことしか方法はないかと思います。

主人公以外の戦いをしっかりと描く

主人公以外の戦いをしっかりと描く!たまごをクレヨンは、バトル漫画を面白くするか、しないかは、ココにかかっていると考えています。

まず、基本的に、あくまで基本的にですが、主人公が勝つという事実は避けようがない流れです。例えば、少年漫画にありがちなトーナメント式武道大会のような設定があったとして、主人公が1回戦で敗退していては、そもそもストーリーを進行させる上で物語の軸を失ってしまうことになります。ですから主人公が勝つという流れは致し方ないのです。読みやすい流れを生み出す上でどうしても主人公は必要ですから。

では、漫画をどう盛り上げるかとなりますが、私は主人公以外のライバルキャラ同士の戦いをいかに面白くできるかが、その漫画を面白くするかしないかの分かれ道だと考えています。

主人公のライバルに成り得る強キャラ達だからこそ、主人公と対戦できるという権利をかけて強キャラ同士がつぶしあう戦いが盛り上がりを見せるのです。

なぜ盛り上がるのかは説明の必要がありません。それは、どちらが勝ってもおかしくないからです。勝敗の予想がしにくいからです。だから、読者は次の展開を予想したくなるし、読者間での会話が生まれます。
「えっ、これどうなるの?」、「お前、どうなると思う?」と読者に思わせたら漫画家の勝ち確定ですね。


たまごをクレヨン が考えるバトル漫画を面白くするたった2つの条件はいかがでしたでしょうか。

①強さのハイパーインフレを抑える。
②主人公以外の戦いをしっかりと描く。

それはお前の考えだというご意見もあるかもしれませんが、少なくとも私が今後漫画を描いていく上で、自分自身がこの2点を強く意識しながら描きたいと考えております。

それができなければ、私は駄作を生み出すことになると思いますので。

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